答え:人は欲望だけで行動するのではなく、価値観という別の矢印によって欲望の方向が選び直されるからである。
私たちは多くの欲望に突き動かされている。
しかし、「欲しいから」といって必ず行動するわけではない。
あるときは欲望を抑え、
あるときは欲望を選び直す。
その背後にあるのが価値観である。
価値観は、欲望の矢印に「方向づけ」を与えるもう一つの矢印である。
価値観はどのように矢印として表せるのか
答え:価値観もまた「方向」と「強さ」を持つ矢印として表すことができる。
価値観は抽象的なものに見えるが、構造としては欲望と同じである。
方向は、その人が大切にしている原則であり、
正直、優しさ、自由、安定などがそれにあたる。
大きさは、その原則をどれほど強く守ろうとするかである。
欲望が「推進力」だとすれば、
価値観は「羅針盤」として方向を示す矢印である。
欲望と価値が重なるとき何が起こるのか
答え:欲望と価値の関係によって、行動は三つのパターンに分かれる。
欲望と価値の矢印が同じ方向を向くとき、
行動は強く、迷いなく現れる。
たとえば、
友人を助けたいという欲望と、親切でありたいという価値が重なる場合である。
欲望と価値が無関係なとき、
価値は行動に影響を与えない。
たとえば、
チョコレートを食べたいという欲望と、正直でありたいという価値は直接関係しない。
欲望と価値が反対を向くとき、
迷いや罪悪感が生まれる。
たとえば、
嘘をついて得をしたいという欲望と、誠実でありたいという価値が衝突する場合である。
なぜ価値観は変化するのか
答え:価値観は固定されたものではなく、時間の中で方向を変える矢印だからである。
人の価値観は一生同じではない。
若い頃は自由や挑戦を重んじ、
中年期には安定や責任を重視し、
晩年には経験や伝達に価値を見出す。
このように価値観は、矢印が回転するように、人生の流れの中で方向を変えていく。
複数の価値はどのように働くのか
答え:人は複数の価値の矢印を同時に持ち、そのバランスによって行動の方向が決まる。
私たちは一つの価値だけで生きているわけではない。
正直さ、家族、創造性、効率、自由など、
複数の価値の矢印を同時に抱えている。
そして、それらのバランスの中で、
どの欲望が採用され、どの方向へ進むかが決まる。
つまり、行動とは欲望だけでなく、価値という空間の中で方向づけられた結果なのである。
● この節の結論
価値観は行動の方向を決める矢印であり、欲望の矢印とどのように重なり合うかによって、行動の強さ・意味・結果が決まる。