答え:人は「数字を守りたい」という心理に強く縛られるから。
投資信託や株式を保有していると、証券口座の画面には資産額が表示されます。価格が上がれば数字は増え、資産が増えたように感じます。しかし、その資産を実際の生活で使うためには、売却して現金化しなければなりません。
ところが、この「売る」という行動は多くの人にとって簡単ではありません。数字の上では資産が増えていても、それを取り崩す決断には強い心理的抵抗が生まれるからです。
なぜ資産が増えていても売れないのか?
答え:「もっと上がるかもしれない」という期待があるから。
価格が上昇しているとき、人は「今売るのは早すぎるのではないか」と考えます。もし売った後にさらに値上がりしたら、大きな利益を逃したことになるからです。
この期待が、売却の決断を先延ばしにします。
なぜ売った後の値上がりを恐れるのか?
答え:人は機会損失を強く後悔するから。
投資の世界では、実際の損失だけでなく、「得られたかもしれない利益を逃した」という後悔も大きな心理的負担になります。
そのため、多くの人は売却のタイミングを迷い続け、結果として何も行動できなくなることがあります。
では資産が減っているときはどうなるのか?
答え:「戻るまで待とう」と考えて売れなくなる。
価格が下がった場合、人は「今売れば損が確定する」と感じます。そのため、「価格が戻るまで待とう」と考え、売却を先送りにします。
この結果、増えているときも売れず、減っているときも売れないという状態が生まれます。
なぜこのような状態になるのか?
答え:「数字を守りたい」という心理が働くから。
証券口座の数字は、実際にはまだ現金ではありません。しかし人は、その数字をすでに自分の資産として認識します。
そのため、数字が減ることを強く嫌い、資産を取り崩すことに抵抗を感じてしまうのです。
含み益とは本当に自分のお金なのか?
答え:売却するまではあくまで評価額にすぎない。
含み益は市場価格によって変動する評価額です。売却しなければ確定した利益にはなりません。
それにもかかわらず、人は含み益を「すでに手に入れたお金」のように感じてしまいます。この錯覚が、資産を取り崩す難しさを生んでいます。
この節の結論は何か?
答え:投資を生活に生かす最大の障害は「数字を守ろうとする心理」である。
資産が増えても「もっと上がるかもしれない」と思い、減っていれば「戻るまで待とう」と考える。
その結果、多くの人は資産を取り崩すことができず、ただ数字を眺め続けることになります。
つまり、
投資の数字を生活に変えるには、この心理的な壁を理解することが必要なのです。